終了まで15日
入場自由
ザ・トライアングル
MIKADO2:ワニのためのフーガ
2024年10月19日-2024年12月22日
会場[ ザ・トライアングル ]
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山田周平、小池一馬、神馬啓佑の3人によるアーティスト・コレクティブ、MIKADO2(ミカド・ツー)を紹介します。
「ha, ha, ha」をリピートするだけの平面作品や、「明るい未来」と表示されたネオンサインの作品など、クールでダダ的な哄笑を誘うコンセプチュアルな作品を制作する山田、文化人類学的な視点から各地の偶像をモチーフにしつつオリジナルなトーテムとしての陶や物語性の高い絵画作品を作る小池、極めて個人的な体験と美術史を重ねて辿り直す絵画表現を試みている神馬というそれぞれに個性的な3作家による協働は、独特なグルーブ感を得て現代的でハイブリッドな表現となります。MIKADO2は、芸術のフォーマットに「欠落」または「ズレ」を作り出し、そこに一見すると無意味な遊びのような制作行為とアティテュードを伴いながら彼らならではの芸術表現を試みています。
彼らはそれを次のように言います。「それは水切りに使われ、川底に沈んでしまう石のようです。」
「ザ・トライアングル」について
「ザ・トライアングル」は、当館のリニューアルオープンに際して新設された展示スペースです。京都ゆかりの作家を中心に新進作家を育み、当館を訪れる方々が気軽に現代美術に触れる場となることをねらいとしています。ここでは「作家・美術館・鑑賞者」を三角形で結び、つながりを深められるよう、スペース名「ザ・トライアングル」を冠した企画展シリーズを開催し、京都から新しい表現を発信していきます。本展覧会には、「新進作家支援・育成事業等のためのチャリティ・オークション&ガラ・ディナー」を通じたご支援をいただいております。
京都市京セラ美術館では、皆様からのご支援(協賛金、展示資材の提供等)を募集しております。詳細は[email protected]までお問い合わせください。
基本情報
- 会期
- 2024年10月19日(土)~12月22日(日)
- 時間
- 10:00~18:00
- 会場
- ザ・トライアングル
- 休館日
- 月曜日
※祝日の場合は開館
- 観覧料
- 無料
アーティスト・ステイトメント
「ワニ」の正体
MIKADO2はアーティスト・コレクティブとして、主に美術の制度を俎上にして遊戯的な身振りで活動をするための有機的な一つのフォームである。今まで、「キュレーターの不在」、 「架空のコレクターの話」、 「”常”の不在」をテーマとして展覧会をおこなってきた。
今回の展覧会のテーマは”神話の中のワニ”である。
日本の記紀には”ワニ”がよく出てくる。「因幡の白兎」ではウサギが隠岐島から”ワニ”を並べて海を渡ってきたとあり、「豊玉姫」は、海神(わたつみ)の娘で、その真の姿は14メートルを越える”ワニ”とされている。
しかしこれらの”ワニ”はわたしたちの知る爬虫類のワニ(鰐)のことであろうか?古来、日本には爬虫類のワニは存在しなかった。
実は明治政府が天皇を中心とする国家体制を進めたことで、古代の「神話」は天皇の正統性を裏付ける「国史」として扱われるようになり、国学や考古学での「正確さ」が求められるようになった。古来より様々な諸説(サメや他の動物、船)があった謎の生物“ワニ”を爬虫類のワニとみなしたのは明治の「時代考証」であり、サメとみなしたのは昭和の「時代考証」であった。
このように日本の古い神話に登場する”ワニ”には実体がなんなのかわからない面白さが常につきまとう。結局、和邇、ワニ、鰐、という言葉が指し示すことができるのは、実体の周辺であり、その実体はどこまでいっても”薮の中”である。
今回の作品群は、ぽっかり空いたその不確かさの”藪の中”にワニと姫をモチーフにしながら、放り込むかのように様々なリンクを貼り付けることで作品は成立している。
インスタにアップした数多くのイメージによって自分のアイデンティティを表象する人々のように、リンクとはある種の「付加価値」である。今回、私達はこの展覧会を”魅力的”なものにするためにそのリンクをふんだんに使用した。
そして神話の中の生物に諸説が付加されてその”不確かさ”が輝きを増すように、リンク(付加価値)で輝きを増した私達の作品群は奇妙な既視感を伴いながら読み替えられ、新たな神話を纏った身体として定着する。アーティスト・プロフィール
MIKADO2(ミカド ツー)
アーティスト・コレクティブ。2021年に結成。現在、山田周平、小池一馬、神馬啓佑の3人で不定期に活動。
展覧会は、「MIKADO2」瑞雲庵(京都、2021年)、「MIKADO2- My baby collection」TEZUKAYAMA GALLERY(大阪、2022年)、「ユクカワノナガレハタエズシテ、」高島屋T8ギャラリー(京都、2024年8月)がある。山田周平 Yamada Shuhei
アーティスト。1974年生まれ。多摩美術大学中退。京都市在住。
主な個展に、Der-Horng Art Gallery(台湾、2024年)、 ARTRO(京都、2023年)、SOKYO ATSUMI(東京、2023年)、Daiwa Anglo-Japanese Foundation(ロンドン、2019年)、 AISHONANZUKA(香港、2017,16,14年)、The Armory Show(ニューヨーク、2013年)、CAPSULE(東京、2012年)。 その他の主な展示に「Positionalities」(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、2022年)、「タグチコレクション Next World 夢みるチカラ」(いわき市⽴美術館、福島、2021年)などがある。2003年、写真新世紀優秀賞受賞。2017年 ISCPレジデンスプログラム(ニューヨーク)のレジデントに選出 。小池一馬 Koike Kazuma
彫刻家/画家。1980年生まれ、大阪府在住。幼少期をブエノスアイレス、高校時代をバルセロナで過ごす。日本大学藝術学部美術学科彫刻専攻卒業。
主な展示に、The Fridge(ニューヨーク 2024)、Sokyo Annex(京都 2024)、cadet capela(パリ 2023)、私立大室美術館(三重 2021)、TEZUKAYAMA GALLERY(大阪 2020,17,14)、AISHONANZUKA(香港 2019,16,13)での個展、AISHONANZUKA(香港)でJordy Kerwickとの2人展(2024)、Djordje Ozboltとの2人展(2023)、HAGD Contemporary(デンマーク)でHenrik Godskとの2人展(2023)がある。神馬啓佑 Jimba Keisuke
1985年、愛知県生まれ。兵庫県育ち、京都市在住。2011年、京都造形芸術大学大学院 芸術研究科表現専攻修了。主な展示に、「神馬 啓佑|通話中 / Iʼm calling」(山山、京都、2024年)、「じゃがいもがポテトになる時」(VOU、京都、2022年)、「THE ヨエロ寸 -尋-」(VOU、京都、2021年)、「当然の結末#6(共同住宅、個人的体験)」(LEESAYA、東京、2019年)、「当然の結末#2(鑑賞と干渉、言語能力、円周軌道)」(gallery parc、京都、2018年)、「VOCA展2016」(上野の森美術館、東京、2016年)など。
- 主催:京都市
- 協賛:株式会社江寿
- 制作協力:有限会社スタジオアクア
- グラフィックデザイン:Rimishuna