上村松園《人生の花》

人生の花 1899年

上村松園 (1875-1949)

作品解説

恥ずかしそうに俯き、不安や嬉しさが入り混じる花嫁と、毅然とした様子で娘を先導する母親の心情を巧みに捉えている。下唇を玉虫色にする笹色紅や青眉などの江戸後期の風俗と、婚礼衣装である黒い振袖などの明治期の風俗の両方が描かれる。

1899年(明治32年)
絹本着色 軸
175.5 × 101.0 cm

上村松園 Uemura Shoen

京都市に生まれる。本名津禰。京都府画学校、鈴木松年に学んで後、師の了解を得て幸野楳嶺に入門、楳嶺没後同門の竹内栖鳳に師事する。第3回内国勧業博覧会で一等褒状を得るなど早くから頭角を現し、文展開設以降官設展で活躍。絵画の伝統を踏まえた上に、女性画家の独自の視点で追求する女性像に孤高の境地を打ち立てた。1948(昭和23)年女性で初めて文化勲章を受章した。

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