アートピクニック

「きむらとしろうじんじんといく、野点 in 京都」プレ企画おさんぽ会(7月編)「吉田山周辺 東・西」

2026年10月29日

内から外へと美術館の活動を開いていく活動の一つとして始まった「きむらとしろうじんじんといく、野点 in 京都」。
美術館を飛び出して、京都市内のどこかで開催する2026年10月31日の「野点」の本番に向けて、定期的にレポートを掲載します。
今回は実際に京都の街を歩きながら、「野点」を開催したい場所を探す「おさんぽ会」7月編についてレポートします!

日時 : 2026年7月18日(土)、19日(日)、21日(月・祝)10:00~17:00
集合場所 : 7月18日|京都大学楽友会館 7月19日|吉田山坂の途中の道具店「途中」 7月20日|京都市京セラ美術館 談話室
参加人数 : 7月18日|13名 7月19日|15名 7月20日|16名

これまで「野点」をやってみたい場所を考える場として、3月に「野点開催場所大募集!窓口」を、4月にトークイベントとワークショップ、そして「おさんぽ会(6月編)」を開催。
「おさんぽ会(6月編)」では、「美術館~吉田山周辺」と「東九条~鳥羽街道周辺」を参加者の方と歩き、たくさんの意見をいただき、じんじんさんと美術館側で話し合いを重ねた結果、「美術館~吉田山周辺」での野点開催を目指すことに決めました(6月編レポートはこちら)
7月のおさんぽ会では6月に候補地として挙がった場所や、まだ歩いていない場所を歩くことに。

●7月18日のおさんぽコース
楽友会館発→公園→京都大学総合博物館→吉田神社南西参道→楽友会館着
●7月19日のおさんぽコース
「途中」発→迎稱寺→吉田山保育園→馬場児童公園→南田児童公園→吉田山→宗忠神社→「途中」→真如堂→宮ノ前児童公園→日吉神社→「途中」着
●7月20日のおさんぽコース
気温が高く、参加者の安全を考慮した結果、おさんぽは中止し、館内で野点場所候補地の絞り込みをすることに決定。

 

7月18日(土)

今回のおさんぽは、3日間のうち、2日間は美術館以外の場所を集合場所とすることができました。
1日目は「京都大学楽友会館」です。この建物は、外見も大変面白い「スパニッシュ・ミッション様式」で、建物内のステンドグラスや照明をはじめ、室内装飾も大変趣があり、参加いただいた方の中にも、ここに入ってみたかった方もいたのではないでしょうか。

10:00 楽友会館にて活動内容の説明

「おさんぽ会(7月編)」がはじまりました!6月編からあっという間の1か月でしたが、前回よりも暑い!体調には十分気を付けて楽しみました。
最初に当館ラーニング担当からイベント開催の趣旨等を説明した後、じんじんさんからはご自身の活動を含め、これまでの取組を記録した動画を観ながらお話がありました。

前回の6月と違って、今日からの3日間は実現可能な野点の場所を絞り込むことが目的となります。6月編で候補地となった場所について説明し、本日は吉田山の西側を中心におさんぽに向かうことになりました。

11:00 参加者と美術館スタッフの自己紹介

自己紹介と併せて、6月編で候補に挙がった候補地以外で、野点におすすめの場所を教え合いました。6月から引き続き参加いただいた方も、今日が初めての参加となる方もいました。

14:00 おさんぽ出発

お昼を食べておさんぽに出発!真夏の暑さの中、じんじんさんも麦わら帽子を被り暑さ対策をして歩き出しました。

楽友会館を出て北西に進みます。この会館自体が京都大学の建物で、周りは校舎や寮、生協などアカデミックな雰囲気が満載です。

住宅地の中にほどよい広さの公園を発見!
「トイレも水場もある!」「管理している事務所はメモしておこう」じんじんさんもササっと公園内を計測。

京都大学総合博物館。ここで野点をしたら、学生だけじゃなく博物館に来たお客さんもキャッチできるのでは?!などの意見が出ました。

6月のおさんぽ会で、候補地になっていた吉田神社南西の参道に到着。通り雨が降ってきましたが、参道の石段を少し上って見た景色も素敵だという声がちらほら。

15:25 楽友会館に戻り少し休憩をしてから、もう一度外に出ました。

ここ、野点のスペースとしては狭いけど気に入った参加者が多かったです。

16:00 楽友会館に戻り今日のまとめと感想発表

会館に戻って、今日歩いて野点をしたいと思った場所や、感想をシェアしました。

16:30 「おさんぽ会」初日終了!

暑い中歩いて皆さん疲れた表情をされつつも、印象に残った場所や、素敵な野点となりそうな場所を発表しました。6月編とは違い今回はトイレや水場の確保、アクセスのし易さ=野点の実施の可能性がある場所かどうかを話し合いました。その中で、「住宅地に囲まれた小さな公園」や、「雨が降る中、上から見下ろした風景が素敵だった鳥居前の公道」などの候補地が出て、この日のおさんぽ会は終了となりました。

●参加者から出た野点候補地
吉田神社南西の参道、公園、私有地、京都大学構内

 

7月19日(日)

2日目は吉田山の坂の途中の道具店「途中」に集合して、おさんぽ会を開始しました。

「途中」は、アートプロジェクト「副産物産店」などの活動を行う山田毅さんと、レシピなど生活の断片を「収集」するアートプロジェクト「あつめやさん」等で活動する岡田真由美さんのお2人で経営されている「道具店&カフェ&人が集まる場」。もともと駄菓子屋さんだったお家は、畳のあるこぢんまりとした空間がとても素敵なところでした。

10:00 活動内容の説明

この日の参加者は15名。昨日から連続参加いただいた方も!前日同様、イベントの趣旨説明や、じんじんさんから「野点」についてのお話がありました。

11:00 参加者と美術館スタッフの自己紹介

前日に引き続き、参加者の方から野点におすすめの場所を教えていただきました。その後の昼食タイムでは、近所にあるお肉屋さんのコロッケを食べながらみんなでお喋り。親密な空間で、初めて会った人どうしで話が弾みます。

13:30 おさんぽ出発

いよいよおさんぽに出発です!みなさんそれぞれ暑さ対策をされていました。

「途中」から北東に少し歩いたところにある萩の名所・迎稱寺の前を通り過ぎます。

趣のある土塀に興味津々。

そのまま北東に進み、吉田山保育園近くに到着。山を望む見晴らしの良い場所で気持ちが良い!

馬場児童公園に到着。
ここから見える山並みにちなみ、五山を模した遊具がありました。怪我防止のためなのか、ちょっとやわらかい触り心地でした。
近くには随分前につくられたと思われる石でできた小さな山も。人の顔を象ったような模様はとてもユニーク。

「住宅街の真ん中にある公園で、ここで野点をしたら近所の人が集まってくるかも」「空が開けていて山も見えて、気持ちが良い」など野点候補地として前向きな意見が多く出てきました。
じんじんさんも公園を採寸しながら「トイレはあるか?」「水場は確保できるか?」などチェックしていました。

ここから白川通りを越えて、北東に向かってどんどん歩いていきます。

南田児童公園に到着。
ここの公園の砂場には、ついさっきまで誰かが遊んでいた痕跡が。砂場セットも置いたままで、「日頃から親しまれている公園なのかなあ」と想像しながら過ごしました。ここでもじんじんさんは採寸と設備チェックをしていきます。

ちょっと不気味で、じっと見ているとかわいい(?)、表情が独特なヒツジとラクダの遊具もありました。ラクダの目には、ペンで描き足された跡も。

吉田山の中腹に到着。この場所は実は6月のおさんぽ会でも訪れた場所です。眺めがとっても良く、「ここで野点ができたら素敵だな」と皆が口をそろえて話していた場所でもあります。

吉田山には上へと向かう細い道沿いに住宅街が立ち並んでいます。一つ一つ登って見てみたい気持ちを抑えて、次へと進みます。

宗忠神社まで出てきました。

ここで一旦「途中」に戻って休憩。紫蘇ソーダを飲んだり、販売しているアンティークの小物を見たりしながら、しばしのリラックスタイム。じんじんさんや体力のある人は真如堂を見に行っていました。

おさんぽ再開。今度は真如堂の東側をぐるっと回ってみます。
柵がぶにぶにしている駐車場から見た景色がとっても綺麗。

石臼のような石が嵌っている石垣。センスがあります!

真如堂東参道。ここから崖沿いに南に向かって歩いていきます。

緩い下り坂が続きます。

宮ノ前児童公園に到着。子どもたちがたくさん遊んでいて、活気があります。遊んでいる子とお喋りをする参加者もいました。じんじんさんと美術館スタッフも、公園近くに住む方としばしおしゃべり。

「途中」へ帰るために北西方向へ進みます。

日吉神社でお参り。

17:00 「途中」に戻り今日のまとめと感想発表

「途中」に帰着!長距離を歩いて、お疲れモードの中での振り返りです。

「昨日は美味しそうなご飯屋さんが色々あったけど、今日は道の途中の所々に面白いポイントがたくさんあった」「『途中』の前で野点をしてみたい」「地域の方と話ができた宮ノ前児童公園でやっても面白そう」「坂を上るなど、少し自分からアクションを起こす必要のある場所が楽しいかも」など、活発に意見を出し合う振り返りとなりました。

17:30 「おさんぽ会」2日目終了!

振り返りでは、実際の「野点」の現場を想像しながら「どうしたら『ええ風景』になるのか?」を具体的に考えて意見を出してくださる方が多く、このプログラムを主体的に考えてくれる参加者が増えたように感じ、とても嬉しく思いました。
いよいよ明日は「おさんぽ会」最終日です!

●参加者から出た野点候補地
馬場児童公園(野点をする人を眺められる!)、南田児童公園(丁寧に管理されていおり、地元の人が大事にしているのでは?)、宮ノ前児童公園、吉田山保育園の見晴らしの良いところ、「途中」の前、吉田山中腹の見晴らしの良い私有地、柵がぶにぶにの見晴らしの良い駐車場、(特定の場所ではないが)少し自分からアクションを起こす必要のある場所(坂を上るなど)など多数

 

7月20日(月・祝)

10:15 今日一日の活動内容の説明

6月から開催してきたおさんぽ会も、とうとう最終日となりました!本日の集合場所は美術館です。この日も相当な暑さが予想され、おさんぽに出発するかどうか、直前まで検討することを参加者の皆さんにお伝えして、少しゆっくり目にスタートしました。

最初に当館ラーニング担当からイベント開催の趣旨等を説明した後、じんじんさんからはご自身の活動を含め、これまでの取組を記録した動画を観ながらお話がありました。

いつものおさんぽ会と同様、参加者の方の自己紹介と、野点候補地を教えていただきます。

自己紹介と並行して、7月18日、19日のおさんぽの様子を、歩いたコースがわかる地図と、写真で説明します。

その後、じんじんさんより参加者の皆さんに、今日はお散歩には出ないことが告げられました。やはり一日の中で一番気温が高くなるこれからの時間に外を歩くことは、参加者やスタッフの身体へのダメージが大きくなると判断し、じんじんさんとスタッフが話合い決めました。

14:40 野点当日の説明と候補地の絞り込み

午後からは、じんじんさん手作りの「野点」資料を見ながら、野点当日の動きを説明して、野点サポートスタッフを募集しました。
野点の一日の流れや、スタッフにお願いしたい仕事や、当日の服装などの説明があり、詳細は野点本番の2日前に開催する説明会で実際に窯やリヤカーの組み立てなどを体験してもらうことをお伝えしました。

おさんぽには出かけることは叶いませんでしたが、その分これまで歩いた記憶をじっくりと思い出したり、初めて参加してくれた方にはその記憶を分かち合い、新しい意見をいただくことができました。

最後に、皆さんと一緒に野点の候補地を3か所に絞り、この日は終了となりました。これから急ピッチで第一候補地から美術館スタッフが必要な手続きを進めていきます。

 

おわりに

3日間参加いただいた皆様、会場を快く利用させていただきました、京都大学楽友会館様、「途中」様、6月のおさんぽ会を含め、参加いただいた皆様、チラシを置かせていただいた商店や施設の皆様、様々なサポートやご意見等をいただいた皆様、ご協力ありがとうございました!

この3日間は暑さとの闘いで、3日目の7月20日に関しては、おさんぽに出ていくことは中止しました。当日おさんぽを楽しみに参加いただいた皆様には大変申し訳ない結果となりましたが、参加者の皆様、じんじんさんはじめスタッフの健康を最優先したものでした。ただ、この一日で、これまでのおさんぽ会でどんな場所を歩いて、どんな景色を見ていたのかを、参加経験のある方は「あの日」を思い出し、初めて参加した方には画像やコメントを通して「おさんぽ」についてお伝えし、そこから野点の候補地に対する客観的な意見をいただく機会となりました。

さぁ、ここから美術館スタッフは最終的に絞り込まれた3つの候補地での野点の実現に向けて、地域の方々への賛同をいただくことはもちろん、各方面への必要な手続きの段階に入っていきました。警察をはじめ各方面への手続きや地域の方々へのご挨拶等は慣れておらず、慎重に慎重に進め、ようやく皆様が「惚れたあの場所」として一番人気だった、「吉田神社南参道」で開催できることとなりました!

是非10月31日は会場にお越しいただき、皆様も「ええ風景」の一部になってみませんか?!

 
きむらとしろうじんじんといく、野点 in 京都
日時:2026年10月31日(土)11:30頃~17:00頃 ※雨天決行/荒天中止
会場:吉田神社南参道 鳥居前(京都市営バス「京大正門前」を下車、東へ徒歩約10分)
*詳細はこちら

 

京都市京セラ美術館ラーニング担当学芸員
影山侑恵、岸本菜穂美

一覧にもどる