牡丹之図和紙糊絵屏風 1943年
稲垣稔次郎 (1902-1963)
作品解説
藍を中心とした濃淡で、添え木で支えられた二株の牡丹の花木を糊染めで表している。右は大輪の花を咲かせる見事な株。対して左は剪定されており、花はないものの蕾や新芽が芽吹き始めている。色数を限定しながら二株の対比を絶妙な構図の中に捉えている。
1943年(昭和18年)
筒描糊絵 紙 屏風 二曲一隻
169.0 × 176.0 cm
稲垣稔次郎 Inagaki Toshijiro
京都市に生まれる。兄は日本画家の稲垣仲静(ちゅうせい)。京都市立美術工芸学校図案科を卒業。松坂屋図案部に勤務する。退職後、第13回国画会に染色作品が入選。第4回と6回新文展、第1回日展では特選受賞。戦後は新匠美術工芸会(しんしょうびじゅつこうげいかい)の結成に参加。京都市立美術大学教授となる。初期は筒糊(つつのり)を用いるが、戦後は型絵染で限られた色数で対象を大胆に簡略化する独自の作風を展開した。型絵染の重要無形文化財保持者に認定。