漆器鹿の図パネル 1937年
奥村霞城 (1893-1937)
作品解説
雌雄の鹿が、棚引く金雲の間に垂れ下がる葡萄を見上げている。鹿の流れるような曲線形態、下草の描く湾曲した線はモダンな印象を与えている。コルク板をつなぎ合わせた大画面に漆や金属でイメージを表し、近代建築に合うような漆芸の調度品を目指している。
1937年(昭和12年)
蒔絵 コルク 額
172.0 × 172.0 cm
奥村霞城 Okumura Kajo
京都市に生まれる。本名は亨。京都市立美術工芸学校描金科を卒業後、岩村光眞(いわむらこうしん)に師事し、後に東京の船橋舟珉(ふなはししゅうみん)に蒔絵を学ぶ。漆工青年競技会、新古美術品展、商工展などで受賞を重ねる。佳都美村(かつみむら)や時習園(じしゅうえん)、五匠園(ごしょうえん)に参加する。第10回帝展に初入選し、改組第1回帝展で推奨となる。母校漆工科の教員となり、後進の指導にもあたる。動植物をモチーフに伝統的主題にも意匠の構成に新しさを取りいれ、将来を嘱望されたが40代半ばで早世した。