談話室

ぽよよんタイム(2021年7月)

2022年1月13日

ラーニングの拠点である談話室で、美術館にあるモノについて考えたり訪れた人との対話を楽しんだりする「ぽよよんタイム」。7月は、美術館の新しい動きに敏感なアーティストや教育関係者、当館に長年通っておられる美術愛好家の方など、とても個性的な方々が参加してくださり、場が盛り上がりました。

日時 : 2021年7月10日(土)11:00〜12:00、13日(火)16:00〜17:00、31日(土)11:00〜12:00
会場 : 京都市京セラ美術館 談話室(本館2階)
在室担当スタッフ : 富塚絵美(京都市京セラ美術館 事業企画推進室ラーニング・キュレーター)、藤田龍平(京都市京セラ美術館 事業企画推進室ラーニング担当)

 

7月10日

日本画を描いているアーティストの野上徹さんが、京都市京セラ美術館の手話や点字などに対応したラーニング活動に関心を持ってきてくれました。野上さんは、ろう者の学生に美術を教えることがあるようで、当館がラーニング活動についてどんなことを考えているのかをじっくり聞いてくださいました。

前回「ぽよよんタイム」で知り合ったアーティストの彦坂敏昭さんも加わり、美術教育に携わりながらもしっかりとアーティストとして活動を続けている彼らとこれからのアートや教育について思いを巡らせる機会になりました。

次室で寛いでいたお人形のような風貌の方に声をかけてみたところ、当館に思い出がたくさん詰まっていることや、アートを通じて国内外のさまざまな人と出会い、人生が豊かで愛に溢れていることを聞かせてくれました。カバンの中から手紙を出して見せてくれたり、旦那さんが買ってくれるかき餅の美味しさについて語ったり、身につけているアクセサリーはほとんど自分で作っていることを教えてくださいました。美術館を長年愛してくださる来館者の皆さんたちとじっくり話したり、世代を超えて質問しあったりするのも「ぽよよんタイム」ならではの魅力になっていく兆しを感じました。

7月10日の様子

 

見せてくれた手紙

 

7月13日、31日

13日、31日と連続して京都市立芸術大学で美術教育を研究している飯田真人教授が学生を誘って遊びに来てくだいました。それだけでなく、「ぽよよんタイム」に相応しいワークショップを考えてきてくださいました。

13日は、開催中の「THEドラえもん展KYOTO2021」に合わせて「アイスの棒でタケコプターを作ってみる」という案を考えてきてくださり、その際に必要になる道具も持ってきてくださいました。集った人々と、「この道具はもう少しこういうやつがあるといいね」とか「美術館って造形教育はしないの?」とか、具体的な作業や物を通じて話し合うことができました。

道具の検討をする様子

 

自分の作ったものを持ちながら話をする様子

 

また、31日には「フランソワ・ポンポン展」に合わせて「紙粘土でシロクマ作って飾る」案を考えてきてくださり、「小さなアクリルのボックスに入れるだけで、作品に見える!」など、発見と学びの多い回となりました。「ポンポン展」を観た後で何かを作りたくなっているところに、展覧会場の出口から近い談話室で今見たばかりの「シロクマ」を必死に思い出して作る姿はとても自然で清々しさがあり、その気配に惹きつけられて集まった人々が、「あそこに置いて写真撮ったらいいんじゃない?」など、展示の仕方などについて自然に話し合って打ち解けている姿が印象的でした。飯田先生に連れられてきた留学生も、言葉にせずとも自然にその場にいる人々とコミュニケーションが取れていて、飯田先生のおかげでとても良い時間になりました。

それぞれに作ったり鑑賞したりしながら展覧会で見たものを思い出す時間

 

アクリルボックスに入れた途端、大事な作品に思え、大切に持ち帰った。

 

 

富塚絵美(京都市京セラ美術館 事業企画推進室ラーニング・キュレーター)

 

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