餞春 1928年
梥本一洋 (1893-1952)
作品解説
朱色の着物姿の舞妓が扇子で拍子をとりながら唄の稽古にいそしんでいる。背後の日本庭園には見事な枝ぶりの松を中心に、立石や築山が配され、池には橋がわたされる。藤の花が咲き、松の新芽が立ちあがる様子からは、春が過ぎて新緑の季節を迎えていることがうかがえる。
1928年(昭和3年)
絹本着色 屏風 二曲一隻
185.2 × 162.8 cm
梥本一洋 Matsumoto Ichiyo
京都市に生まれる。本名謹之助。京都市立美術工芸学校、京都市立絵画専門学校を卒業後、山元春挙に師事。第1回帝展に初入選。第8回、第9回帝展で特選を受賞。春挙没後は、同門下の川村曼舟主宰の早苗会にて活躍する。曼舟没後は、耕人社を結成し後進の指導を行った。王朝文学や謡曲、伝統行事を題材に、近代的要素を加えた独自のやまと絵を展開した。