平牀 1933年
土田麦僊 (1887-1936)
作品解説
民族的な伝統とは異なる白を基調とした抑制された色彩で描かれた、寝台に座す女性と脇に立つ二人。寝台の水平線に対して、立つ女性の頭部を頂点に、座す女性の頭部を経て鏡に至る斜線が三角形を成し、衣文の流麗な線が呼応する。朝鮮の妓生への取材が研ぎ澄まされた造形に結晶している。
1933年(昭和8年)
絹本着色 額
153.0 × 209.0 cm
土田麦僊 Tsuchida Bakusen
新潟県佐渡(さど)郡に生まれる。本名金二(きんじ)。最初鈴木松年(すずきしょうねん)の門に入った後、竹内栖鳳(たけうちせいほう)に師事。第2回文展で「罰」が初入選。京都市立絵画専門学校別科に学び在学中、小野竹喬(おのちっきょう)らとともに「黒猫会(くろねこかい)」、「仮面会(かめんかい)」を結成。また、1915(大正4)年、村上華岳らとともに「国画創作協会」を設立。同協会解散後は帝展に復帰する。1934(昭和9)年帝国芸術院会員となる。