籠屋 1909年
都鳥英喜 (1873-1943)
作品解説
籠に編むための竹を割く職人。気の抜けない作業ゆえに、刃物の制御に全神経を集中させている。眼から手元に向けられた視線が全体の構図を決定付け、額と、筋肉が緊張する手に当たる光がそれを補強する。風景画家として知られる都鳥が残した珍しくも優れた人物画である。
1909年(明治42年)
油彩 キャンバス 額
79.0 × 58.0 cm
都鳥英喜 Totori Eiki
千葉県佐倉市に生まれる。浅井忠(あさいちゅう)の従兄弟。中江兆民から漢学を、浅井忠から西洋画を学ぶ。明治美術会通常委員となるも、東京時事新報社(とうきょうじじしんぽうしゃ)に入社し、美術を担当。太平洋画会の創立にも参画。浅井の上洛に伴い京都に移り、京都高等工芸学校の講師となり、聖護院洋画研究所、関西美術院でも教授を務める。大正期に3年間渡欧。帰国後京都高等工芸学校教授となる。