グレーの柳 1901年
浅井忠 (1856-1907)
作品解説
「柳色」というのか、平安時代から日本人に愛されてきた少し白味がかった黄緑色が美しい。大きな箒のように枝を伸ばした柳の並木のある空地を、農婦が一輪車を押しながら歩いてくる。夏の終りの陽光が傾いて、柳の影が石橋に静かに落ちている。
1901年(明治34年)
油彩 キャンバス 額
59.5 × 79.5 cm
浅井忠 Asai Chu
東京(江戸の佐倉藩邸)に生まれる。号木魚。国沢新九郎の彰技堂に入門。工部美術学校でアントニオ・フォンタネージに師事して、バルビゾン派の風景画を学ぶ。明治美術会の結成に参画。パリ万博の視察のために渡仏。帰国後は京都高等工芸学校の教授となり、聖護院洋画研究所(後の関西美術院)を開設して後進を指導する。遊陶園と京漆園を創設して京都工芸界に新風を吹き込んだ。