帝釈試三獣図 1885年
幸野楳嶺 (1844-1895)
作品解説
山中の水辺の岩に腰を下す老人。老人のために猿は木の実を採り、狐は魚を獲っている。兎は赤い眼を見開き途方に暮れている。この後兎は、猿と狐に焚かせた火中にわが身を投じ翁に捧げたという。翁に姿を変えた帝釈天が、兎の慈悲を末永く示すため月に昇らせた「月の兎」説話を描く。
1885年(明治18年)
絹本着色 軸
146.5 × 71.5 cm
幸野楳嶺 Kono Bairei
京都府生まれ。中島来章、塩川文麟に師事。京都府画学校(現京都市立芸術大学)設立に尽力、私塾でも多くの後進を指導する。画派にこだわらない京都青年絵画研究会や関西ではまだなかった自主的な美術活動を行う京都美術協会の発足にも携わる。清らかな花鳥画や知的な構成にもとづいたバラエティに富む作品を描いた。